教室などで金継ぎをお教えしております。

その際、器もそれぞれ生徒さんに、直したいものをご準備いただいております。

 

そんななか、最近よく「現在直したい器がないから、何か割ろうと思います」と言われることがあります。

大変申し訳ございませんが、それは何卒ご容赦くださいませ。

わたしは壊れたものを再び使えるようにするために、金継ぎをしております。

金継ぎをするために敢えて壊すのは、本末転倒で、何よりわたし自身がとても悲しいです。

例え作家ものではない大量生産品だったとしても、それをデザインし、生産ラインを整え、仕事にしている方がいらっしゃいます。その方々に対して、とても申し訳ない気持ちになってしまうのです。

 

ありがたいことに、わたしは割れた器を直すことで生かしていただいておりますが、割れないのが一番です。

どうぞ大切に器との暮らしを楽しんでいただいて、いざ、かけがえのない器が割れてしまった時に、直すという手段を思い出していただけたら、大変嬉しく思います。

 

最近は気に入った骨董の傷物を購入してお直しする生徒さんもいらっしゃいますので、もしご用意いただけるようであればそちらでも構いません。

また、ご友人やご家族に相談して、傷物を預かって練習する生徒さんや、作家さんや窯元さんにお願いする生徒さんもいらっしゃいます。

方法はたくさんあります。どうか敢えて割ってしまうようなことは避けていただけますよう、心よりお願い申し上げます。