最近流行りの簡易金継ぎ

いったい何?

 

簡易金継ぎとは、人工的に開発された合成うるしや合成接着剤、合成樹脂パテを使ってうつわを直す方法です。

 

 

【長所】

・かぶれにくい

・短期間で直せる(1〜3日)

・材料の入手が簡単で安価

 

【短所】

・食器に使うには安全性が保障されていない

 

有名なのはふぐ印の新うるしですが、メーカーさんの説明によると、

「植物性のうるし系塗料です。(本品は毒性の強い物質ではありませんが念の為、食器等口に含む恐れの有る物に塗装しないでください。)」とあります。

他の金継ぎ師さんからの情報によると、

「”鉛”が含まれています。ただ、金継ぎで使用する「量」が微々たるものなので、気にするレベルではないと思います。」と説明されたそうです。

 

正直なところ、曖昧な説明な印象です。

微々たる量とはいえ、食器に使えば少しでも口に入るわけですし、もし安全性が高いのならば、それを商品に記載した方が売れるので、メーカーさんとしても有利なはずです。

でもそれをしないということは、やはりグレーゾーンなのだなという印象。

 

漆と違ってかぶれなくて、時間もかからないし、安く直せる。

それだけ聞くと良いことしかない。現代人に合ったものだと思います。

ただ、安全は保障されていない。

うーーーん、、、

 

個人的には、簡易金継ぎも悪いわけではないと思っています。

「うつわが割れて悲しくて、でも漆で直すのは時間もお金もかかる、でも直してでも使いたい」

そう思ってうつわを捨てるのではなく、直すという選択をしてくれたこと、その方がわたしは嬉しい。

簡易金継ぎの方がハードルが低い分、そこから本漆の金継ぎへ興味を持ってくださる方もいらっしゃるので、こちらへの入り口になっていることにも変わりはないのです。

そりゃ、やっぱり最初から本漆の金継ぎを選んでいただいた方が嬉しいけれど、、、

うつわが捨てられてしまうよりもずっとマシです。

 

本漆の金継ぎと簡易金継ぎ、どちらを選ぶのか。

それって普段何を食べるのかとか、何を着るのかと同じだと思っています。

ご自身で素材を吟味して、消費者に選んでいただくしかない。

新うるしも植物性100%だから、そんな猛毒みたいに言わないで、と言う方もいらっしゃいます。

それでも、わたしの中では「植物性100%だったら、100%安全なのか?」という不安が、自分の中で拭えなくて、だったら9000年の歴史の中で、100%の安全性が保障されている本漆を使うよっていう、ただそれだけなんです。

 

直すことを選んでいただけるのであれば、わたしはどちらでも良いと思っています。

ご自身で選んでください。

(一度新うるしで直してしまうと、漆でやり直すのはめちゃ大変なので、できればやっぱり本漆の金継ぎを選んでほしい!←本音)